今年度、棟方志功さんの作品を紹介するミニ番組を一年間制作させていただきました。板画家(版画の版を棟方氏は板と書く)棟方志功さんは、戦時中に縁あって福光町に家族で疎開。表現者として脂が乗る40代の6年8ヶ月を福光で過ごし、その間に「鐘溪頌」「女人観世音」「運命頌板画柵」などの素晴らしい作品を制作しました。
棟方志功さんはとにかく作品が多い!ことで知られていますが、創作ジャンルも板画、油絵や倭画(肉筆画のこと)、書、本の装幀も含めると、福光時代に制作した作品数だけでも目眩がするほど。ということで、番組でどの作品をチョイスしていくかがとても難しく、結果、地味好みの私の選定で小さい作品が多くなってしまった。。。でも、棟方さんの小品、とってもいいのですよ。
戦時中はやはり物資が乏しくて、板木もおのずと小さいものになってしまったという事情があるのですが、小さいサイズでも構図のバランスが絶妙。さらに擦りがとっても綺麗。福光時代には、棟方さんの支援者(で理解者)の石崎俊彦さんが擦りを担当していたのですが、石崎さんはもともと画家を目指していたこともあって、繊細な擦りの技術がうかがえるのです。それと作品へのリスペクト。それがビシバシ伝わる美しさです。(と、私は思う)
南砺市では「福光美術館」だけでなく、石崎俊彦さんが残した棟方作品を展示する「棟方志功記念館・愛染苑」があります。個人的には「愛染苑」は、本当に素敵な作品が展示されていますし、親切なスタッフの皆さんにぜひいろいろお話も聞いていただきたい。まだまだ寒い日が続きますが、棟方作品を訪ねる福光小旅行、おすすめです。【吉】